極洋――海の恵みを守り、DXで未来へ挑む総合食品企業

今回はDX推進企業である(株)極洋 商品開発本部研究所の阿部さんにお話しを伺いました!

極洋 塩釜研究所

創業1937年。漁ろう会社からスタートした極洋は、いまや魚に特化した総合食品企業として、調達・養殖から加工・販売までを一貫して手がけています。国内外の食卓に届けられる製品の裏側には、「海の恵みを未来へつなぐ」ための挑戦が続けられています。

職人技からDXへ

(株)極洋 阿部さん

魚の加工現場では、原料の良し悪しを見極めたり、正常品を選別したりする工程に職人技が欠かせません。
しかし近年は人材不足が深刻化し、その技術をどう継承するかが課題になっています。

「魚の形や大きさは一匹ごとに異なり、工業製品のように規格化が難しい。
だからこそ、経験や勘に依存する工程が多いのです。」
と阿部さんは語ります。

そこで極洋は、品質検査や選別のDX化に挑戦。
NECソリューションイノベーターや東北大学と連携し、AIによる目視検査の実証実験を実施しました。

現場のカメラ映像を解析し、不良品の流れや生産量を可視化。
データに基づく改善サイクルを回し始めています。

DX推進企業としての挑戦

加工食品の製造ラインには、清掃や骨残り検査といった“人の手に頼る”工程がまだ数多くあります。
清掃は直接的に付加価値を生みにくいものの、食品会社として欠かせない業務。
ここにもDXによる効率化の余地があるといいます。

また、寿司ネタ用のシャリを冷凍後も美味しく保つ技術、端材の有効活用など、極洋ならではのノウハウも培われています。

こうした強みと新しい技術を掛け合わせ、次の成長につなげようとしています。

研究会で広がるネットワーク

マシンインテリジェンス研究会に参加した背景には、「職人技をどう数値化・可視化し、次世代へ引き継ぐか」という課題がありました。

参加後は、冷凍庫の省エネ対策や自動化システムの紹介など、他企業との交流が広がり、現場の課題解決に直結する知見を得ています。

地域の利を生かし、宮城・東北に拠点を持つ企業同士が現場を訪問し合う機会も期待されています。

また、「生成AIを使った業務効率化やデザイン思考の実践方法についても学びたい」と、AI活用の幅をさらに広げることに意欲を示しています。

海から未来へ

極洋が目指すのは、水産物の価値を守りながら、新たな技術で未来へとつなげること。

人材不足や不均一な原料という水産業特有の課題に対して、DXの力をどう取り入れるか。
その挑戦は始まったばかりです。

最後に阿部さんのおすすめ商品をお伺いしてみた所、「からすかれいの塩焼きが大好きです。」と自信をもって紹介していただきました。

他にもさまざまな商品がありますので、皆さんも知らぬ間に極洋さんの商品に触れているかもしれませんね。

伝統的な美味しさと現代の技術を融合させた一品は、極洋が大切にしている“品質と挑戦”を象徴する存在といえるでしょう。